がんと生きる(SOIFイベント参加レポート)

これは、SOIF(The Social Investing farm)という団体が5月17日(日)に開催したイベントの参加レポートです。

SOIFとは?

「寄付が変われば社会が変わる。自分と未来を変える新しい寄付のかたち」というビジョンのもと、10人のメンバーが1万円ずつ毎月持ち寄り、それぞれが共感するプロジェクトを選択して寄付をする「日本の寄付文化に風穴をあける大人の遊び」をしています。

毎月特定のテーマを設定し、そのテーマで活躍している方々からお話を聞いて、共感した方の団体に寄付をするイベントで、メンバーではない私たちもプチ寄付体験ということで、いくらかの寄付ができます。

今月のテーマは「がんと生きる」

今月は、がんをテーマに以下のお三方がいらっしゃっていました。

NPO法人maggie’s tokyo / 共同代表理事 鈴木美穂さん

英国で誕生した、がんに直面し悩む本人、家族、友人らと医療者などがんに関わる人たちが、がんの種類やステージ、治療に関係なく、気軽に立ち寄れる場所 Maggie’s Centres(マギーズセンター)。がん患者が自分の力を取り戻すための場マギーズセンターを東京にも作ろうというプロジェクト。

http://maggiestokyo.org/

一般社団法人CAN net / 代表理事 杉山絢子さん

がん・病気を持った方やそのご家族と、多彩な分野のスペシャリストたちを、立場や領域の垣根をこえて一人ひとりの力と想いをつなぐ人の輪。誰かに聞いてみたいけど病院ではなかなか聞きづらい気持ちのことや治療のこと、お金のこと、今後の生活のことなどについて、『がんコンシェルジュ』を通じてCAN net から情報・サービスを得ることができる。
http://can-net.jp/

がん経験者インタビューWeb生番組「がんノート」/「がんノート」プロデューサー 岸田徹さん

がん経験者のがん経験者による「生の情報発信」。
平凡なことから、ちょっと聞きづらいことまで、がん経験者をゲストに呼んで、生で喋ってもらおう!そして、それを今、治療で頑張っている人たちに「元気を分け合えたり、見通しになってもらえれば」という想いで活動している。
http://gannote.com/

鈴木さん、岸田さんは実際にがんを経験し、克服されているサバイバーで、杉山さんは医師でがんを告知する側の方です。

がんになる前からがんを知る必要性

お三方とも強調されていたのは、がんになる前からがんの情報をもっていることの重要性です。

鈴木さんは、ご自身の闘病生活を振り返り、「闘病生活がつらいのではなく、その後の人生、自分のキャリアや結婚、出産というライフイベントがすべて白紙になったと感じ、絶望したことが一番つらかった」とおっしゃっていました。

がんになって、一番情報がほしいときに情報がなかったので、それを事前に獲得できる場として、maggie’s tokyoを立ち上げたいと説明されていました。

 

杉山さんは、「がんの苦しみは4つあります。それらに直面することが分かっているのなら、事前に備えることも可能。」とおっしゃっていました。

私が調べたところ、この4つの苦しみとは、肉体的な苦しみ、精神的な苦しみ、社会的な苦しみ、スピリチュアルな苦しみのことのようです。

告知されてから準備していたのでは、選択肢が狭まってしまうので、ボランティアとして関わっていくなかでそれを体感してもらい、自身の万が一に備えてほしいとおっしゃっていました。

 

がんノートを運営する岸田さんの活動は、まさにがんを知ることそのものです。

岸田さんが経験されたがんは、かなり希少なもので、ネットで検索してもなかなか情報が出てこなかったそうです。

また情報を見つけても、がんの闘病生活を綴ったブログの大半は、筆者は亡くなっているらしく、さらに絶望に追い込まれるという状況です。

がんノートは、様々ながん経験者(サバイバー)にインタビュー形式で話を聞くため、がんの情報を得るだけでなく、彼らが社会に復帰していていることも伝えたいとおっしゃっていました。

家族として看取り方を知る

杉山さんは、がんを告知する側として、家族がその事実を受容し、理解することの重要性を述べていました。

核家族が進んだ現在では、家族の死に直面することがほとんどなく、家族との別れに対してうまく対処することができないことがあるそうです。

看取り方が分からない、悲しみ方が分からない、そうすることで対処できないことが怒りに変わってしまう。

事前にがんのことを知り、適切な情報を得ることで、家族として看取り方を知ることができるといいます。

それはちょうど、地震に備えて、いざ発生した時にうまく対処できるようになるのと同じくらい大切なことだといいます。

がんになったことによる成長

杉山さんは多くのがん患者を診て、もちろん最期を看取ることになる方々もたくさんいる中で、がんの診断から回復し、成長する方々もたくさんいるそうです。

鈴木さんも岸田さんもがんになったことがよかったと言っています。

その一つは、今の活動をやっていくことになった使命を見つけられたということ。がんを経験し、マイナスな部分もあったけど、それをプラスにしていこうとする前向きな気持ちを持つようになり、それが今の活動の原動力にもなっているそうです。

 

鈴木さんは、がんになる前、努力をすればなんでもできると思っていたし、自分をよりよく見せようとして、もっとツンケンしていたそうです。

それが、努力をしてもどうにもならないことが人生にあることがわかり、ありのままで生きていくことで、生き方が変わったとおっしゃっていました。

死と直面する

死と直面することは、絶望するし、精神的に大きく疲弊するとみなさんおっしゃっていました。

死から目を背けて、不安にさいなまれることで、死を拒否しているにもかかわらず自殺未遂を経験した方もいらっしゃいました。

しかし、それを受け入れることで、人は必ず死ぬのだから、死ぬことを怖がらないで生きることが、全力で生きることになるそうです。

また人間は亡くなる直前まで生きる希望を持つことができるそうです。むしろ死ぬほうが楽だと思いながら、死んでいくほうがつらいそうです。

大きな病気をして、自暴自棄になることもありますが、本当につらい時期はずっとは続かないので、その時期は何もしなくていい、ただ生きるだけでいいとおっしゃっていました。

またひとりでは絶対に抱え込まず、誰かに何かをいう機会を設け、相談をしてほしいと強調していました。

参加してみて

今回は「がん」という病気をきっかけにしたみなさんの活動がテーマでしたが、みなさんのお話を聞いていくと、人生における自分との向き合い方を学んだような気がします。

自身を振り返ってみると、自分はずっと生き続けることが前提ですし、大きな問題に直面することがないことを前提に生きている気がします。

ただ、それだけではいつか必ず準備不足になるし、自分と向き合っていないことになります。

普段から自分と向き合い、例えば「もしがんになったら?」ということを考えることで、自分の生き方や死との向き合い方を再考することができます。

そういうことを考える良い機会を与えていただきました。

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