書評:プロボノ-新しい社会貢献 新しい働き方-

プロフェッショナルなスキルを活用したボランティアとして定義されている「プロボノ」ですが、社会に浸透しているかというとそんなに浸透していません。

NPOが欲しているニーズに応じてプロボノを派遣し、プロジェクト管理を行うサービスを提供するサービスグラントの代表である、嵯峨生馬さんが書かれたプロボノに関する本です。

だいたい以下のことについて書かかれています。

  • 米国でのプロボノの歴史や日本での取り組み状況
  • プロボノを受け入れるNPO側の課題やニーズ
  • プロボノをやる人ってどんな人なのか
  • うまくプロボノを受け入れる方法、やる方法
  • 未来に向けたプロボノの使命

私が心に残ったのは、以下の内容です。

「非営利」という思考方式

基本的な前提として、非営利組織と営利組織とは、まったく異なる行動原理の上に成立している。

営利組織は市場(しじょう)のなかで、利益を最大化する組織ですが、非営利組織は社会課題の解決を目的に活動するため、その市場は必ずしも儲かる訳ではない。
むしろ、ひとり親家庭や途上国のスラム街、社会的マイノリティなどが活動の対象となるため、むしろ市場は小さく、そこに大量のお金が流れこむわけではない。

私がITの導入支援をしていると、そこが必ずネックになってきます。
社会課題を直接解決するわけではないITツールに、お金をかけるわけにはいかないので、いかに安価にITの価値を享受できるか、を考えないといけません。

本業では、お客様にはIT予算があって、その枠の中でどんないいものができるかを考えるのですが、NPOの場合は限りなく0に近い状態で最大のパフォーマンスを出すことができるかを考えるようにしています。

プロボノワーカーたちの横顔

世界的な競争や景気の後退など、企業を取り巻く環境は厳しい。そのしわ寄せは従業員に対する教育投資に如実に反映されている。(中略)
企業内でスキルアップをする機会が減っていることは、実は、社会人が「ソーシャル」に向かう原動力につながる。というのも、実務に直結する能力やスキルを除いては、自らを高める情報や知識に接する機会が企業の中で減っており、これまでのように会社が自身の成長にまで責任を持ってくれるという期待を、以前よりも抱きづらい環境になりつつある。

上記がプロボノを行う方々の強い動機付けになっている、と書かれています。

私も会社で得られないスキル(特にITスキル)を独学で学び、プロボノで実践するということをしています。
それにより、自分のスキルを高め、できることが増え、本業でもやりたいことができるようになると思います。

こういうメリットを感じながら、社会貢献ができるというのは一石二鳥であり、無償なのに継続してプロボノができる一つの動機づけになります。

「成功するプロボノ」の条件

1.プロジェクトがスケジュール通りに完了していること
2.提供した成果物が利用可能かつ持続可能であること
3.支援先とボランティア双方に、期待以上の成果が生まれていること
4.関わったすべての人が、それぞれの対応について満足していること
5.支援先が、自らの社会的インパクトが増したと感じていること

この5つを全て満たせるようなプロボノプロジェクトってなかなかないと思いますが、ビジネスマンとしてやっている以上、1と2については最低限満たされるべき条件だと思います。

5が満たされると、間違いなくプロボノマニアになります。
間接的にも社会にインパクトを与えていることを目で見て確認できるというのは、企業で働いている環境ではなかなか経験できないものですし、無償でやってるからにはこれを目指したいですね。

既にプロボノとして活動している方々にとっては、自分の経験を振り返るいい機会になる一冊ですし、これからボランティアをやろうとしている方々には、一つ上の視座を得ることができる一冊だと思います。

 

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