アジア・プロボノ会議参加レポート

サービスグラント主催のアジア・プロボノ会議に参加してきたので、現地の熱気をここにレポートできればと思います。

アジア・プロボノ会議とは

日本を含むアジア7ヵ国10団体によるパワフル・プレゼンテーションの連続!短時間に凝縮されたプログラムを通じて、アジアにおけるプロボノや市民社会の温度感や力強さを体感できる、またとない貴重な機会となります。
仕事で、 NPO・NGOの活動で、学業で、あるいは、個人的に、アジアとつながりを持つ人は着実に増えている昨今。「プロボノ」という視点から切り取られるアジアの「いま」を感じ取ってください!
-サービスグラントWebサイトより

各国のプロボノ活用団体(中間支援団体)が、各々の団体の活動紹介と実績をライトニングトーク形式で発表していくイベントです。

ここからは各国のプロボノ団体の発表内容を紹介していきます。

恵沢人(Huizeren)ボランティアセンター【中国】

恵沢人では、様々なリソースやインフラ、専門技術の不足などにより、課題や困難に直面するNPOに対して、企業との連携を促進するサポートを行っています。恵沢人は、専門性を持つボランティア「プロボノ」を獲得し、マッチングし、マネジメントすることに取り組んでいます。プロボノワーカーは、専門的・技術的なサポートを通じて、民間企業と公益セクターとの橋渡し役となります。恵沢人は、より効果的で、価値の高いプロボノサービスを通じて、NPOがより速く、より質の高い発展を遂げられるようサポートしています。
-サービスグラントWebサイトより

2011年にTAPROOTとBMW財団の支援によって立ち上がったそうです。

中国では10,000人あたりのNPO数が、約3.8団体。これは日本の約10団体に比べるとまだまだ少ない数です。
原因の一つに中国は政府の力が強大であるということ。
政府がNPO支援に対する政策をほとんど取っていないらしく、なかなか新興NPOが成長していくには難しい環境であると、おっしゃっていました。

 

智恵衆生【中国】

智恵衆生は、スキルを活かしたボランティア活動を通じて、人材開発のソリューションを提供する非営利組織です。組織の垣根を超える、新規性の高いプログラムを通じて、企業人のリーダーシップを育てていくようにデザインされています。企業の人事部門との戦略的な連携を通じて、力強いチームを構成することで、従業員のスキルアップを図るとともに、企業にとっては、効果の高い社会的投資をも実現しています。同時にNPOにとっては、企業の優秀な人材の力を借りることで、よりよい社会的インパクトを生み出すことにつながります。
-サービスグラントWebサイトより

智恵衆生は、「テクノロジーが未来を変える」を標榜し、国内の先進的なテクノロジー企業とNPO団体をつないで、互いの価値を高める役割を担っているそうです。

具体的には、テクノロジー研究開発分野のプロボノとNPO団体双方をワークショップに参加させ、相互価値が高まるアイデアをファシリテーションしていく活動をしています。
このワークショップも双方の価値が高まるようなものを開発してきたようです。

 

SENSET(センセット)【韓国】

SESNETは、企業経営、法律、デザイン、科学技術、メディア、マーケティングなど幅広い分野の専門家やCEO経験者によって設立された団体です。「最良の支援とは自立を促すことだ」という信念のもと、貧困や失業、環境問題、社会的サービスの不足などの課題にイノベーティブな方法で向き合う社会的企業を対象に、設立から事業展開までをサポートしています。
-サービスグラントWebサイトより

韓国では、2007年に社会起業を設立できる法律が施行。
そこから社会起業家が大幅に増加したため、SENSETでは彼らの立ち上げをサポートしているそうです。

彼らが提供しているサービスは、主に以下の6つ
・プロボノハブスクール
・マンツーマンやグループによるコンサルティング
・オンラインや電話による相談
・1日でソリューションを提示するワークショップ
・学生プロボノ活動
・ハンドインハンドプロボノ

ここでは二つのサービスについて、説明がありました。

プロボノハブスクールとは、社会起業家たちが同じようにぶつかる問題について、それらを研修化し、スクール形式で提供しています。
具体的には、以下のスライドのとおりです。

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二つ目は、ハンドインハンドプロボノです。
これは、プロボノと社会起業家たちが1対1で経営上の様々な問題について相談しあう場です。
約6か月間伴走して、彼らの企業の問題から個人の問題についても相談を受けます。

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BRIDGE(ブリッジ)【韓国】

ブリッジは、企業が持つ専門性を社会課題の解決に効果的に役立てるサポートを提供しています。ブリッジは、企業がプロボノに取り組むにあたって、より高い効果を挙げられるような公共セクター・社会セクターにおける支援先の調整などに取り組んでいます。
ブリッジは、単体で社会課題の解決に取り組むのではなく、企業に機会を提供することを通じて、企業とともに社会課題解決を図ることを目指しています。
-サービスグラントWebサイトより

ブリッジという名前の通り、クロスセクターコラボレーションを促し、NPOセクター、企業セクター、公共セクターの橋渡し役を担っています。

具体的な事例としては、カンボジアにおける教育プラットフォームの開発です。

カンボジアは、まだまだ教育の質が高くありません。
理由は、高いレベルの授業を行う先生が少ないこと、そして教材がよくないこと。

そこでブリッジは、カンボジア国内NPOの良質なコンテンツ、韓国企業の高レベルのテクノロジーを使用して、教育省を通じて先生に使ってもらうように働きかけたそうです。

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このクロスセクタープラットフォームは、現在も改善を重ねており、カンボジアでよりよい教育の提供を目指しているそうです。

 

Empact(エンパクト)【シンガポール】

2011年に、シンガポールを拠点とする社会的企業として設立。NPOや社会的企業を対象に、日々の組織運営に不可欠な支援を、高い品質・専門性と安価なコストで提供することで、ソーシャルセクターの強化を支援しています。
エンパクトによる支援活動には、個人事業者、企業、学生、業界団体などが時間と専門性をプロボノとして無償提供しています。エンパクトは、支援先との調整のためのコーディネート役を担い、プロボノワーカーが自身の専門性を発揮することに注力できるようなサポートを行っています。
-サービスグラントWebサイトより

エンパクトは、サービスグラント同様、優秀なプロボノをNPOや社会的企業と連携させ、新しい価値を生み出すことを目的として立ち上げられたそうです。

具体例がユニークでおもしろいです。

一つは、学生を巻き込んだプロボノです。
学生は未来の担い手であり、彼らの育成を目的としています。
社会人のプロボノと学生をセットにして、NPOや社会的企業を支援することで、新しい価値を生み出すことだけでなく、社会人が学生にリーン方式開発を教えることで育成にもなるということです。

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二つ目は、ミャンマーとカンボジアの貧困支援です。
プロボノを活用して、両国の社会的企業を調査し、貧困対策のニーズを見つけ出すとともに、両国の関係者をシンガポールに呼び、プロボノと一緒に働いたということです。

この活動は、財団からの助成により成立した活動です。

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最後は、Cレベル(CEOやCFOなど)のプロボノを活用する活動です。
彼らは、社会起業家に対するメンタリングを8か月毎月2時間実施しています。
NPOや社会的企業に対して、経営と個人のメンタリングを行っています。

参加者の一人で弁護士だったプロボノは、これまでは法務回りでプロボノをしていたが、弁護士以外のスキル(経営組織作りやキャパシティビルディング)にも力を発揮できることが分かったと言っています。

また、ある経営者の参加者は、プロボノ活動で社会福祉に対する支援をしたことで、社会福祉に対する関心が高まり、自社に一部門を設けて障害者雇用を支援しているということです。

 

Conjunct Consulting(コンジャンクト・コンサルティング)【シンガポール】

コンジャンクト・コンサルティングは、東南アジア第一号となる社会変革を目的とするコンサルティング集団として、若者やビジネスパーソンたちをシンガポールの社会変革を担う団体の基盤強化のためのコンサルティングをプロボノにより提供しています。
-サービスグラントWebサイトより

2011年、海外留学から帰国した代表が、シンガポール国内でプロボノ活動ができる場がないことを不満に思い、自分で立ち上げた団体。

シンガポールでは、社会起業セクターが右肩上がりで成長しており、また、ボランティアしたい人が多くいて、これからさらに活動支援の場を広げられるといいます。

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現在の活動は以下の二つ。

一つは、経営コンサルティングです。約4か月間の間、プロボノが経営コンサルティングサービスを提供しています。

もう一つは、企業パートナーシップです。これは、企業から参加したプロボノがNPOや社会的企業の経営に関する青写真を1日で描く支援サービスです。

私たちは、プロボノが提供した価値についても測定しています。
財団から助成された1ドルに対し、5ドルの価値を生み出せるような形で支援をしています。

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タイ若手慈善家ネットワーク【タイ】

タイ若手慈善家ネットワーク(TYPN)は、次世代に向けたよりよいタイ社会の創造という目標を共有する、社会的な意識の高いプロフェッショナルが集まるコミュニティです。2008年の創設以来、TYPNは恵まれない人々を力づけ、タイの変革を担う団体の支援に注力しています。TYPNは、わずか10人で設立した当初から、2014年8月現在2,600人を超えるまでに成長しています。1,200人以上の貧困層に直接支援する20以上のプロジェクトを実施し、50団体以上のNPO等を支援しました。TYPNは、ボランティアベースの組織で、代表を含むコアメンバーもすべて無償ボランティアで活動しています。
-サービスグラントWebサイトより

社会変革をもたらしたい社会起業家は、思いがあるが、経営手法が分からない、ノウハウがない、お金がない、と課題がたくさんあります。
一方で、タイの大学院には、民間にいて高い給料をもらいながら学業に励むスキルを持った外国からのる学生たちが沢山います。

私たちはそこにタイの大学生を間に入れることで、外国の学生たちがタイの社会起業家を支援しやすくする仕組みを取り入れています。
そこで起業家たちは自分たちのニーズを満たし、外国の学生はタイ社会にインパクトを与えられ、タイの学生は経験を得ることができます。

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カナダの留学生からの参加者は、この経験により、東南アジアに残って、インドネシアで起業家たちを支援する活動を立ち上げています。

 

iVolunteer(アイ・ボランティア)【インド】

アイ・ボランティアは、ボランティアを推進する社会的企業です。そのミッションとは、ボランティアとNPOが力を合わせて、時間とスキルと情熱を共有することで、インド社会の発展に寄与することにあります。これまで約10年間の歩みの中で、アイ・ボランティアでは300件を超えるインド国内のNPO、そして、40ヵ国の海外組織との連携を広げ、デリー、ムンバイ、バンガロール、チェンナイ、コルカタ、ハイデラバード、プネのインド主要7都市に拠点を構え、インド全域における存在感を示す組織として成長してきました。
-サービスグラントWebサイトより

2001年に始まったインドで最初のプロボノ組織。最初は事務作業の手伝いから始まり、より専門的なプロボノ集団になっていきました。

具体的な取り組みとして「ホワイトボード」があります。

これは民間の高い役職者が理事会に参画し、脆弱な理事会を強化しています。
例えば、虐待防止を推進する組織に対して、大手企業のCEOが資金調達を担当。
マーケティングでお金をかけられないので、企業とは違った難しさを痛感しました。

このホワイトボードでは、同業他社の幹部を一緒に参加させることにも取り組んでいます。
誰かが欠席することに対して他社の幹部から圧力がかかり、参加を強制できるようにした仕組みです。

もう一つの取り組みとして、GYANというのがあります。
これはある特定の知識(プレゼンテーション方法やExcelスキルなど)の習得を目的として、習合教研修を行うというものです。

GYANにより、212のNPO団体に支援ができています。

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Ghadan(ガーダン)【サウジアラビア】

サウジアラビア第二の都市ジッダを拠点に活動するガーダンは、「ソーシャル・エンゲージメント」を中心テーマに、非営利の中間支援組織です。
ガーダンでは、サウジアラビアの市民と市民組織の基盤強化を目指し、数多くのプログラムやキャンペーンに取り組み、幅広く多様な市民参加を実現しています。小規模の社会的企業や草の根のNPOはもちろん、民間企業や学術機関に至るまで様々なサウジアラビアの団体と連携を図っている点が特徴です。
-サービスグラントWebサイトより

ガーダンでは、NPOと企業の両者をつなぐことで新しい価値を生み出すことです。

サウジアラビアでは、企業の割にNPOの数が少なすぎで、質のいいNPOをより多く生み出すことを目標にして活動しています。

また、大学生を活用しプロボノとしてNPOに送り込んでいます。
具体的には、大学生とリーンスタートの専門家である石油会社の社員をNGO送り込んで、在庫管理の改善を行いました。

これにより、コスト削減が実現し、貯蔵場所を削減でき、プロセスが効率化できました。

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タップルートファウンデーション【アメリカ】

14年前はプロボノは弁護士だけがやるものでしたが、NGOは法務以外にも沢山のスキルの支援を必要としていると知り、タップルートが始まりました。

現在の活動軸は以下の5つです。

一つは、サービスグラント事業です。
これは、マーケティング、人事、IT、戦略の4つの領域に対し、プロボノを派遣し、4人から6人が6カ月から9カ月の期間で価値を生み出していくものです。

二つ目は、企業に対するプロボノプログラムの開発支援です。
企業に対してコンサルティングを行い、プロボノプログラムの設計の手伝いをしています。

三つ目は、1日かけてのプロジェクト(Done in a day)です。1日でプロボノ活動をやるものです。

四つ目は、タップルートプラスです。これは先週始まったサイトですが、オンラインのプロボノ出会いサイトのようなものです。
https://taprootplus.org/

五つ目は、グローバルプロボノサミットです。
BMW財団から出資を受けて、国際的パートナーシップを強化するために、タップルートは人的リソースを配置し、リーダーシップを取って活動し、全世界で高質のプロボノが可能になる社会を実現します。

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アメリカのプロボノトレンド

Linkedin上で自分のプロフィールに「ボランティア」のチェックをつける機能を追加したところ、9カ月前にスタートしたものの既に200~250万人が登録しています。

また、若い世代の66%がNPO領域に価値を生み出す企業で働きたいといっており、70%の人がプロボノ経験により、自社で働くことに意義を見出しているという結果もあります。

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現在、世界中でプロボノのニーズが高まっています。
アメリカの有名な多国籍企業の多くがこのニーズを要請してきており、タップルートとしても全世界で高品質なプロボノを提供する支援を行いたいと思います。

具体的には、BMW財団からの助成を受けて、これまでの12年間アメリカで培ってきたノウハウをグローバルに提供するための世界戦略を考え、専門の人も配置していきます。

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私の雑感

中国は政府がNPO支援に前向きではない一方で、韓国は政府が前向きに支援をしているなど、政府の役割がとても大きいと感じました。

また、いくつかの団体は、大学生をプロボノとして活用しており、半人前のインターンという位置づけの日本とは感覚が違うのだと感じました。

日本でプロボノをやっていると、プロボノってあまり社会に浸透していないし、共感できる人も少ないし、と孤独感のようなものを感じる時がありますが、こうやってアジアの沢山の団体がそれぞれの地でプロボノの普及を頑張っているのを目の当たりにすると、実は世界中に同じ思いの人たちが沢山いるというのを肌で感じ、うれしく思いました。

 

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コメント

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